ノーベル賞の賞金はいくら?何種類の賞がある?受賞した日本人まとめ

ノーベル賞の賞金はいくら?何種類の賞がある?受賞した日本人まとめ

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ノーベル賞という言葉はよく耳にしても、賞金がいくらなのか、何種類の賞があり、日本人は何人受賞しているのかをきちんと説明できる人は意外と多くありません。ノーベル賞はアルフレッド ノーベルの遺言にもとづき、1901年から授与されている世界最高峰の賞で、現在は世界各国から研究者や作家、平和活動家が選ばれています。 この記事では、ノーベル賞の最新の賞金額、6つの分野の違い、そして日本人受賞者の概要や傾向までを、受験や一般教養にも使えるように分かりやすくまとめます。

ノーベル賞の賞金はいくらか

基本的にはノーベル賞の賞金額は年ごとに変動しますが、2024年と2025年のフル賞の金額は1件あたり1100万スウェーデンクローナに設定されています。 為替レートにもよりますが、日本円ではおおよそ1億円台半ばというイメージです。受賞者が複数いる場合は、この金額を分け合います。例えば3人受賞なら、半分を1人、残り半分を2人で分けるなど、分配比率は毎回の選考で決められます。また賞金だけでなく、純金メダルと美術作品として作られた賞状も授与されるのが特徴です。

賞金の原資と支払いの仕組み

ノーベル賞の賞金は、ノーベルが遺言で遺した約3100万クローナの遺産を元手とする基金を、安全性の高い有価証券などで運用し、その運用益から支払われています。 基金の運用状況によって賞金額を増減させており、過去には財政の悪化から一時的に賞金額を引き下げた時期もありました。現在は基金の時価総額は当時の何十倍にも膨らみ、長期的に継続できる水準を維持することが重視されています。またノーベル賞の中でも、経済学賞の賞金だけはスウェーデン中央銀行が負担する仕組みになっており、他の分野と同額が支払われます。

ノーベル賞は何種類あるか

もともとノーベルの遺言で定められたのは、物理学、化学、生理学または医学、文学、平和の5分野です。 その後1968年にスウェーデン中央銀行の寄付により、アルフレッド ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞が創設され、現在は実質6分野で毎年授与される形になりました。 ただし経済学賞はノーベル財団が運営しつつも、厳密にはノーベルの遺言に書かれていない追加の賞という位置付けです。メディアや一般会話では、6つをまとめてノーベル賞と呼ぶのが普通になっています。

選考機関と授賞式までの流れ

ノーベル賞は分野ごとに選考機関が異なり、物理学、化学、経済学は王立スウェーデン科学アカデミー、生理学または医学はカロリンスカ研究所、文学はスウェーデン・アカデミー、平和賞はノルウェー ノーベル委員会が選考を担当します。 授賞式は毎年12月10日、ノーベルの命日に行われ、平和賞はオスロで、他の賞はストックホルムで授与されます。 受賞者は賞金に加え、メダルと賞状を受け取り、翌日前後には受賞記念講演を行うのが慣例となっています。

日本人受賞者の概要と人数

日本人のノーベル賞受賞は1949年の湯川秀樹から始まり、その後の受賞を合計すると、日本国籍や日本出身者などを広く含めて32人とまとめられています。 分野別では、物理学賞が12人、化学賞が9人、生理学または医学賞が6人、文学賞が3人、平和賞が2人で、経済学賞の受賞者はまだいません。 近年も2018年の本庶佑、2019年の吉野彰、2025年の北川進や坂口志文など、物理学、化学、医学分野を中心に受賞が続いており、日本の自然科学系の研究力の高さを示す象徴となっています。また多くの受賞者が海外の研究機関と長年にわたり共同研究を行っており、国際的な人材流動とネットワークがノーベル賞級の成果に不可欠であることも浮かび上がっています。

日本人の受賞①:物理学賞

物理学賞は、日本人が最も多く受賞している分野です。湯川秀樹、新居千秋、江崎玲於奈、小柴昌俊、赤崎勇、天野浩、中村修二など、素粒子、半導体、ニュートリノ、青色発光ダイオードなど世界を変えた研究が評価されています。 さらにアメリカ国籍取得後に受賞した南部陽一郎や真鍋淑郎のように、日本で教育を受けてから海外で活躍し、日米双方にゆかりのある研究者も多いのが特徴です。これらの受賞は、基礎理論から実験、工学的応用まで幅広い領域で日本人研究者が世界をリードしてきたことを示しています。

日本人の受賞②:化学賞と医学賞

化学賞では福井謙一、白川英樹、田中耕一、野依良治、下村脩、鈴木章、根岸英一、吉野彰、そして2025年に金属有機構造体の研究で受賞した北川進などが知られています。 電池材料、有機合成、導電性高分子、たんぱく質の発光など、現代の産業や医療を支える技術が高く評価されています。生理学または医学賞では、利根川進、大隅良典、本庶佑に加え、2025年に制御性T細胞の研究で坂口志文が受賞しており、免疫やオートファジーなど生命現象のしくみ解明に日本人が大きく貢献していることが分かります。

日本人の受賞③:文学賞と平和賞

文学賞の日本人受賞者は、川端康成、大江健三郎、そして日本生まれで英国籍を持つカズオ イシグロの3人です。 川端は日本的な美意識、大江は戦後社会と個人の葛藤、イシグロは記憶とアイデンティティをテーマにした作品群が評価されました。平和賞では、1974年の佐藤栄作と、気候変動問題への取り組みで受賞したIPCCの議長経験者など、日本に関わる受賞例がありますが、純粋な日本人個人としては2人と整理されます。 科学系に比べ数は多くありませんが、世界文学と国際政治の場で日本の存在感を示す受賞と言えます。

まとめ

ノーベル賞の賞金は現在でおよそ1100万スウェーデンクローナと高額ですが、それ以上に大きいのは、受賞が研究分野や社会に与える象徴的なインパクトです。 これまでにも日本からはこれまで30人を超える受賞者が生まれ、特に物理学や化学、医学分野で世界トップクラスの成果を挙げてきました。 一方で、まだ受賞者のいない分野も残されており、若い世代にとっては大きな目標にもなっています。ノーベル賞はあくまで成果の一つの形にすぎませんが、そこに至るまでの長い研究や活動の積み重ねにこそ価値があることを意識しつつ、日本発の新たな挑戦に期待したいところです。