子どもや若年層を語る場面で、α世代やβ世代という言葉を耳にする機会が増えていないでしょうか。
2010年以降に生まれたα世代は、生まれたときからスマートフォンやタブレットが身近にある環境で育ち、情報の集め方や判断の速さに独自の傾向を示しています。プレッシャー世代やZ世代とは異なり、デジタル技術を「学ぶ」のではなく「共生する」世代として注目を集めました。
本記事では、年齢区分や行動の特徴、次に続くβ世代との関係まで分かりやすく整理します。
もくじ
α世代・β世代とは？区分の基準
α世代とは、2010年〜2024年ごろに生まれた子どもたちを指す呼び名です。2025年時点では、年齢はおおよそ0歳〜15歳に該当し、全世界で約20億人規模になるとされています。教育や消費、制度設計に影響を与える人口層として注目を集めました。
参考サイト：トランスコスモス株式会社
一方、β世代は2025年前後から2039年ごろに生まれる世代を指します。誕生直後の世代のため、具体的な特徴はまだ整理段階にあります。
世代区分は、同時期に生まれ似た環境で育った集団を整理するための便宜的な枠組みです。
なぜギリシャ文字？α世代・β世代の命名理由
α世代という名称は、ギリシャ文字の最初の文字である「α（アルファ）」に由来します。X・Y・Zと続いてきたラテン文字の世代呼称が一巡し、新しい区分としてギリシャ文字が採用されました。この命名には、社会や価値観の前提が切り替わる節目を示す意図が込められています。
0歳〜15歳｜α世代の年齢層と特徴
α世代は、2025年時点では未就学児から中学生までを含む幅広い年齢層です。スマートフォンやタブレットが身近にある環境で育ち、情報への接触が日常化しています。
コロナ禍によるオンライン学習の普及や、GIGAスクール構想による学校でのタブレット活用なども経験しています。2020年からは小学校でプログラミング教育が必修化され、義務教育の中でデジタルリテラシーを体系的に学ぶ世代となりました。
同じα世代でも、2010年生まれと2024年生まれでは14歳の年齢差があり、成長段階による違いも大きい点に留意が必要です。
タッチ操作が当たり前のα世代
タッチ操作や音声入力に幼少期から触れ、大人に教えられる前から遊びや好奇心を通じて直感的に使いこなしています。YouTube、TikTok、Minecraftなどのプラットフォームを日常的に活用する姿も見られました。
親世代にあたるミレニアル世代（1980年〜1995年ごろ生まれ）は、インターネット普及期を経験しデジタル機器に慣れている傾向にあります。そのため家庭内でも動画やアプリが自然に組み込まれやすい環境が整っています。
α世代の特徴｜判断の速さと迷い
α世代の特徴は、学び方や選び方など日常の行動に色濃く表れています。こちらでは、情報の取得方法や判断のプロセスを通して、他世代との違いを整理していきます。
TikTok・YouTube頼り｜α世代の情報源
α世代は、情報を集めて判断するまでの流れが短くなりやすい世代です。GoogleやYahoo!などの検索エンジンよりも、TikTokやInstagramのリール、YouTubeのレビュー動画を信頼する傾向が見られます。
映像や音声から要点を素早く把握し、合わなければ別の候補へ移る行動も目立ちました。学年が上がるにつれ、判断軸はテレビCMから友人やSNSの口コミへと移行していきます。
2025年5月の調査では、自由に使えるお金やデバイスを持つ「リーダー型」の子どもが情報のハブとして機能し、トレンドを同世代へ発信する構造も明らかになりました。
参考サイト：α世代ラボ
慎重すぎる？α世代の選択肢疲れ
α世代は、日常的に多くの情報と選択肢に囲まれた環境で生活しています。そのため失敗を避けようと、慎重に判断する場面が増えやすい傾向があります。
情報が過剰になると、判断が遅れたり、決めきれず先延ばしする状態も起こりました。この迷いは性格ではなく、常に比較できる環境が生みやすいものです。大人側は選択肢を整理し、比較軸を示す関わり方が求められています。
β世代とは？α世代の次に来る世代
β世代は、α世代の次に位置づけられる世代です。全員が21世紀生まれになる点が特徴です。
生まれた時点でスマートフォンやAIが身近にあり、学びや遊びの前提がすでにデジタル化されています。2039年までに生まれる子どもたちがβ世代に含まれる見通しです。ただしβ世代は始まったばかりで、特徴は固定されていません。
AI個別指導が当たり前の時代へ
α世代の延長線上では、AIやビッグデータ活用が生活や学習により自然に組み込まれていきます。理解度に応じて内容が調整される教材や、個別に最適化された学び方が広がっていくでしょう。
STEAM教育の発展により、プログラミングやロボティクスが一般的なカリキュラムに組み込まれる可能性もあります。一方で導入の度合いは地域や家庭で差があり、一律に進むわけではありません。
参考サイト：マイクロミル
α世代・β世代｜世代名称の区切り方
α世代を理解するうえで欠かせないのが、Z世代（1995年〜2010年ごろ生まれ）との比較です。技術を「学んだ世代」と「前提として育った世代」では根本的な条件が異なります。
Z世代は成長の途中でスマートフォンやインターネットが広がり、それらを学びながら使いこなしてきました。
一方でα世代は、デジタル技術を「習得するもの」ではなく「共生するもの」として捉えており、AIやIoTが日常に溶け込んだ環境で成長しています。
Z世代が学校でパソコンやインターネットの使い方を学んだのに対し、α世代は論理的思考を育むプログラミング教育を受けている点で、教育内容の質が大きく異なりました。この違いから、α世代は前提条件そのものが変わった世代と整理されています。
まとめ
α世代は、デジタル技術と共に成長してきた世代です。TikTokやYouTubeでの情報収集、選択肢の多さによる迷いなど、学び方や選び方にもこれまでとは異なる傾向が見られます。
世代区分はあくまで整理のための枠組みであり、個人差も大きい点に注意が必要です。β世代は、その流れを引き継ぐ存在として、今後の社会変化とともに輪郭が明らかになっていきます。
