団塊の世代、氷河期世代、最近ではＺ世代と呼ばれるように日本では、特定の年代に名前が付けられることが多いです。その中でも不景気の逆境を生き抜いてきた世代として「プレッシャー世代」と呼ばれるものが存在します。他の世代の名前と比べて馴染みが少ない世代ではありますが、この世代もいろいろな特徴があります。
本記事ではプレッシャー世代の概要や特徴、他の世代と比較した世代の位置づけなどについて紹介していきます。
もくじ
プレッシャー世代の概要と由来
プレッシャー世代とは、おおむね1987年〜1989年頃に生まれた人々を指し、社会に出た時期が厳しい環境と重なったのが特徴です。就職難の中でスキルを身につけなければならず、常に成果を出すプレッシャーに晒されたことから呼ばれるようになりました。メディアによっては1986年〜1991年生まれを含めることもありますが、共通するのは「逆境の中でたくましさを育んだ世代」という点です。
「プレッシャー世代」という呼称は、就職難・成果主義の浸透・グローバル競争の高まりなど、若者に重くのしかかる社会的背景から生まれました。彼らは常に成果を求められ続けるなかで「厳しいプレッシャーを乗り越える力を持った世代」として注目されるようになったのです。
優秀と呼ばれる理由
この世代は他の世代と比較して優秀であるといわれることが多い世代です。プレッシャー世代が優秀とされる最大の理由は、生まれた時から困難な環境で育ったことです。安定的な就職が難しい時期に社会へ出たため、自ら考えて行動し、必要なスキルを主体的に身につけるしかありませんでした。その過程で「柔軟な対応力」、「粘り強さ」、「自律心」といった特性が培われ、現在の職場で高く評価される土台となっています。
また、成果至上主義の環境を経験した一方で、過労やストレスによる弊害も目の当たりにしてきた世代でもあります。そのため、効率的に働きつつ無理を避けるバランス感覚や、チームの空気を読む調整力に優れる人が多いとされます。
団塊ジュニアとの比較
団塊ジュニア世代（1971〜1974年生まれ）は、人口規模が非常に大きく「人数の多さゆえの激しい競争」を経験した世代です。受験戦争や就職活動では、学歴偏重や大量採用の仕組みの中で、集団の中で努力し順位を勝ち取ることが重視されました。
そのため、組織に忠実で勤勉に働く姿勢が身につき、年功序列や終身雇用といった従来型の仕組みに乗ることで安定的なキャリアを築けた人も少なくありません。一方で、プレッシャー世代は団塊ジュニアとは異なり、成果主義やグローバル競争が浸透した時代に社会に出ており、「個人の力で成果を出すこと」が強く求められました。
ゆとり世代との比較
ゆとり世代は、おおむね1987年から2004年頃に生まれた層を指し、「ゆとり教育」を背景に名づけられました。この世代は学習時間や競争が緩和され、「マイペース」「ストレスを避ける」といったイメージで語られがちです。ただし実際には多様性を受け入れ、自由な発想で行動する柔軟さを備えた世代でもあります。プレッシャー世代と一部重なるため混同されることもありますが、両者の評価は対照的です。
プレッシャー世代が「責任感が強く成果を求められ続けた」イメージで語られるのに対し、ゆとり世代は「競争から距離を置き、自分らしさを重んじる」と位置づけられることが多く、社会における役割も異なってきます。
Ｚ世代との比較
Z世代は1990年代後半から2010年代にかけて生まれた人々を指し、インターネットやSNSが日常生活に根付いた「デジタルネイティブ世代」です。情報収集や発信に長け、社会課題への意識も高いのが特徴で、多様性やサステナビリティを重視する価値観を持つ人が多いとされます。一方で、プレッシャー世代はこのZ世代の一歩前に位置し、「橋渡し役」のポジションを担います。
PC・携帯電話時代からSNS・スマホ時代への移行を経験しているため、上世代の価値観を理解しながらも、下世代のデジタル感覚に寄り添えるのが強みです。
プレッシャー世代の強み
プレッシャー世代は、職場において上のリーダー層と下の若手世代のちょうど中間に位置しているため、組織の潤滑油的な役割を果たす存在として評価されています。年功序列を経験した上の世代の管理的視点を理解しつつ、デジタルネイティブである下の世代の新しい価値観や働き方にも共感できるため、双方の橋渡し役となるのが強みです。
また、自ら厳しい時代をくぐり抜けてきた経験があるため、後輩の育成や指導においても安心感があると評価されやすく、マネジメント現場でも「信頼して任せられる中堅層」として重要な存在となっています。
弱点として指摘される側面
プレッシャー世代は、厳しい就職環境や成果主義の中で育ったため、基本的に責任感が強く慎重な傾向があります。しかしその反面、常に結果を求められる状況に慣れてきたことから「失敗を極端に恐れる」「挑戦を避けがち」といった側面が指摘されることもあります。安全策を優先し、リスクを取ることに消極的になる場合があり、これがイノベーションを阻む要因とみられるケースも少なくありません。
また、精神的な負荷に耐える力はある一方で、過剰なプレッシャーが続くと燃え尽き症候群やモチベーション低下を招くリスクも伴います。そのため、彼らの力を最大限発揮するには、挑戦できる環境や心理的安全性を確保し、過度な自己抑制を緩和する仕組みが求められています。
まとめ
プレッシャー世代とは、1987〜1989年頃に生まれ、就職氷河期や成果主義の浸透といった厳しい社会環境の中でキャリアをスタートした人々を指します。彼らは「逆境に鍛えられた世代」として、柔軟性や粘り強さ、そして上下世代の価値観をつなぐ調整力を備えていることから、ビジネスシーンで高く評価されています。
一方で、プレッシャー下で育った経験から慎重すぎる面や挑戦を避ける傾向も指摘されますが、環境さえ整えば中核人材として大きな力を発揮できる存在です。プレッシャー世代は「安定と変化の狭間でバランスを取る世代」といえ、今後も組織の中核として重要な役割を果たしていくことが期待されます。